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絶体絶命!?⑨
side :詩音
そんな…
俺に埋め込まれているものは正常なのに、本体のコンピューター自体が操作されてる…!?
せっかく香川先生がやってくれてたことが、全部無駄だったなんて…
俺の居所は誰にも分からない
強烈な絶望感と恐怖が俺を襲ってきた。
かたかたと身体が震えてくる。
二度と継に会えないという、真っ黒なドス黒い感情に支配されて、目の前が何も見えなくなった。
継、継、継っ!!!!!
とてつもない深い穴に突き落とされ、掴むものも縋るものもない…ただ浮かぶのは『絶望』という文字だけ。
…奴らの会話は続いていた。得意げに話し合い、時折笑い声も聞こえる。
それらはただ、耳を通過していくだけ。
『滅多に出ない代物だから』
『値段を釣り上げて』
『今までの上得意を全部呼んだ』
と…
俺一人?
スーパーΩだから『滅多に出ない』?
ずっと管理されてたのはこのためだったのか?
研究所を…国を…信じて任せていたのに…
あぁ…これから金銭で取引されて、どこかの誰かに弄ばれて殺されるんだ…
嫌だ、嫌だ、嫌だ!!!!!
継…継…せめて最後に一目でもいい。
会いたい…………
抱きしめてほしい…
あの、愛おしく狂おしい匂いに包まれたい…
右手の指輪をぎゅっと握りしめる。
継……………
継…助けて……………
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