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脱出⑤
side :継
ムカつく…腹わたが煮えくり返る。
コイツら人間か?悪魔じゃないのか?
正常な頭の持ち主ではない。
「…品定め…してるみたいですね…」
大橋がボソリと呟いた。
ざわついていた気配が消えた。
『さぁ、皆さま!いかがですか?
ただ美しいだけでない!
この気の強そうな顔付き、瞳…今までご紹介してきたΩとは、また毛色が違ってお楽しみいただけますよ!
ツンデレ具合が萌えますねぇー。
我こそは と思われる方、どうぞご参加下さい!
お支払いはキャッシュでお願い致します。
用意はよろしいでしょうか?
では…まずは一千万からのスタートです!」
はあ?
俺の詩音が一千万?
バカか、コイツら!
一千五百!
二千!
三千!
三千八百!
四千二百!
どんどん値が釣り上がっていく。
一体何人が参加してるんだ?
桐生からの着信!
「もしもしっ?桐生どこだ?
詩音を競り落とすオークションが始まった!
俺はもう我慢できないぞ!」
「今、配置についたところだ。
この敷地からはネズミ一匹逃げ出せない。
全員の令状も取ってきたし、あとは踏み込むタイミングだけだ。
継、先走るなよ!」
「俺も部屋まで行く!」
「お前は下のエントランスで待ってろ!
…何があるかわかんねーからな。」
そう言って一方的に切られてしまった。
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