156 / 829

脱出⑤

side :継 ムカつく…腹わたが煮えくり返る。 コイツら人間か?悪魔じゃないのか? 正常な頭の持ち主ではない。 「…品定め…してるみたいですね…」 大橋がボソリと呟いた。 ざわついていた気配が消えた。 『さぁ、皆さま!いかがですか? ただ美しいだけでない! この気の強そうな顔付き、瞳…今までご紹介してきたΩとは、また毛色が違ってお楽しみいただけますよ! ツンデレ具合が萌えますねぇー。 我こそは と思われる方、どうぞご参加下さい! お支払いはキャッシュでお願い致します。 用意はよろしいでしょうか? では…まずは一千万からのスタートです!」 はあ? 俺の詩音が一千万? バカか、コイツら! 一千五百! 二千! 三千! 三千八百! 四千二百! どんどん値が釣り上がっていく。 一体何人が参加してるんだ? 桐生からの着信! 「もしもしっ?桐生どこだ? 詩音を競り落とすオークションが始まった! 俺はもう我慢できないぞ!」 「今、配置についたところだ。 この敷地からはネズミ一匹逃げ出せない。 全員の令状も取ってきたし、あとは踏み込むタイミングだけだ。 継、先走るなよ!」 「俺も部屋まで行く!」 「お前は下のエントランスで待ってろ! …何があるかわかんねーからな。」 そう言って一方的に切られてしまった。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!