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安堵⑤

脱衣所にそっと下ろされ、一枚一枚丁寧に脱がされる。 されるがままに裸にされると、大きな手が身体中を撫で、その視線は皮膚の下まで見通すように手の動きを追っていく。 最後に、手首の包帯を解くと 「手首以外には傷はないようだな…」 と、手錠で付いた擦過傷を唇で辿っていった。 それだけでもう、俺自身は腹に付きそうなくらいに屹立し、先端からじわりと愛蜜が溢れ、後口はぐじゅぐじゅに溶けて愛液が太腿に流れ落ちていた。 立っていられないほどに感じて、ふらりと倒れそうになるのを抱きとめられ、じっと見つめられる。 「ダメ…離して…継の服が汚れる…」 「いいんだ、そんなことより詩音を抱いていたい。 それより怖い目に合わせてすまなかった…」 継のせいじゃないから…と、ふるふる首を振れば、瞼に優しいキスが落とされる。 まだ洋服を着ていた継はキスをしながら、片手で俺を抱き、片手でボタンを引きちぎらんばかりに脱ぎ散らかし、その熱い身体を押し付けてきた。 「お前に何かあったら後を追うつもりだった。」 耳元でささやかれて、びくりと身体が跳ねた。 『後を追う』?まさか… 目を見開き継を見る俺に 「お前は俺の命そのものだから。 お前がいなくなれば俺の存在価値はないから。 詩音、お前だけを愛している…もうどこにも行かないで…」 涙声で懇願され、震えが止まらない。 「継っ…継、継っ!」 名前を呼ぶごとに溢れる想いとフェロモン。 狭い空間に二人の狂おしいほどの匂いが漂っていた。

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