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安堵⑦
溢れる想いが止まらない。
身体から継を求めるフェロモンが噴き出すように舞っている。
「あぁ、詩音…こんなにも俺を…」
感極まった声で継が呟く。
その継からも俺を求めて止まないフェロモンが次から次へと溢れている。
手を伸ばし継の頬を両手でそっと包み込む。
触れる頬が熱い。
俺の、継。愛しい番。
「…継…愛してます…」
はらはらと零れ落ちる涙を拭うこともせず、愛の言葉を紡ぐ。
「詩音、愛おしい俺の番…」
両手に重ねられた継の大きな手は温かく、俺は泣きながら、うっとりと目を瞑る。
継は俺のバスローブの紐を解き、肩から滑らせるように脱がせると、ゆっくりと俺を横たえ、上に跨った。
そして、自分のバスローブをばさりと床へ落とすと、その逞しい身体を擦り寄せてきた。
固く熱を持った昂りが、俺の下半身を直撃する。
思わず甘い吐息が溢れて腰が揺れる俺をうれしそうに見つめ
「詩音、もっと、もっと感じさせてやる。」
と言うと、端正な顔が近付き唇が重なった。
上下の唇を縫うように舐められ、早く中にほしくて開けた隙間に、ぬるりと舌が侵入してきた。
歯列から内頬の柔らかな部分を舌先で一際優しくなぞられて、どちらのものかはわからぬ唾液が口元から流れ出す。
甘いその液体を音を立てて啜りながら、また口内へと戻る継の唇。
百合や薔薇のような花の香りを振り撒く俺は、涙で霞む目を開けて継の動きを追っていた。
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