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いざ温泉③
満腹のお腹も落ち着いた頃
「詩音、ここの泉質は100%天然の単純温泉だそうだ。
湯あたりしないように、程々にな。
おいで。一緒に入ろう。」
できるだけ優しく、手を差し伸べながら言うと、逡巡してフリーズする詩音の手を取り移動させる。
よかった。拒否されなかった…
『子供にするように』服を脱がせ、横抱きにすると、浴室へ入った。
詩音は抵抗しない。
お湯を掛けると、瞬時にお湯を弾く瑞々しい素肌に恍惚となり、鎌首をもたげようとする俺自身を何とか鎮め、詩音の身体を洗ってやる。
詩音は、ぼんやりと俺のすることを眺め、俺がすることに嫌がるそぶりはなかった。
うんうん。いい調子だ。
「詩音、いい子だな…愛してるよ。」
小首を傾げ俺を見る詩音。
愛してる、愛してる…と呪文のように呟きながら、広い檜の浴槽に、ワザとぴったりくっついて入った。
「外は露天風呂になってる。後でまた入ろうか。」
濡れた髪を掻き上げて、額にキス。
かわいい、かわいい詩音。
俺の元へ帰って来てくれ…
詩音の目がとろんと半分落ちてきていた。
時々カクッと首が揺れる。
一気に疲れが出たのか?
「詩音、眠たいのか?
じゃあ、ベッドへ連れて行ってやるから。」
抱き上げて脱衣所に立たせると、タオルで念入りに拭き上げ、髪を乾かし、水を飲ませた。
大人しく黙ってされるがままの詩音は、何を思うのだろう…
「お休み、詩音。また明日。
愛してるよ…」
唇にちゅっと一回だけキスをして、抱き込んで寝かせる。
程なくして小さな寝息が聞こえてきた。
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