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いざ温泉⑧
こうしちゃいられない。
詩音を抱き上げ、ざばりと大きな音を立て脱衣所に向かうと、バスローブにくるんで水を飲ませる。
これから始まる愛の行為に向けて…
…一応聞かないとな…
跪いて手を取ると
「詩音。抱きたい。抱かせてくれ。
お前の中に入らせてくれ。」
湯に浸かってほんのりと朱を纏っていた詩音の身体が、瞬間火を噴いたように耳まで赤く染まった。
「…そんなこと…一々聞かないで…」
その答えに噛み付くようにキスをすると、掻っ攫うようにベッドへ直行した。
振り撒かれる互いのフェロモン。
今まで匂いがなかったのがウソのように、溢れ出して止まらない。
甘えるような誘うような揺れる瞳が、俺を煽り立てる。
挿れたくて、爆ぜたくて、膨れ上がった俺自身は、痛みさえ感じる。
「あぁ、詩音…俺の元に帰ってきてくれて…ありがとう…愛してる、愛してるんだ…」
執拗なキスを繰り返し、その度に身体をくねらせ、甘い吐息を漏らす詩音に欲情し、俺の欲望は限界を超えそうだった。
「優しくしたいのに、無理だ…ごめん…」
身体中を撫で繰り舐め回し、詩音の性感帯を指で、舌で苛める。
「待って、継、待って」
と、請う詩音の手を拘束し唇を塞ぎ、ひたすら責め続けた。
「継!待って!!」
詩音の叫び声にハッと正気に戻った。
はぁはぁと荒い息だけが聞こえ、目元を赤く染めた涙目で見つめられる。
そっと両手の拘束を解いた。
あ…ヤバイ…俺はまた何か間違ったのか?
「…継…俺は…あなたにずっと触れていたい、触ってほしい、抱きたい、ずっと抱いていてほしい…
こんないやらしいΩだけど…俺を愛してくれますか?
もし…子供ができたら…その子がΩでも…愛してくれますか?」
小さな声で…でも思いの丈を必死で伝えてくる詩音。
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