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なくなった香りside :詩音①

確かに『Ωだから誘う』と言われたようで、俺自身の存在を否定されたようで…悲しくて腹が立って、その感情が爆発しそうになった。 追いかけて来た継の顔を見るのも辛かった。 ただ、声もなく涙を流すだけだった。 俺の肩を抱き寄せ、あれこれ構ってくる継。 何か違和感を感じていた。 最初は風邪でも引いたのかと思っていた。 あんなことがあった後だから、メンタル的なものもあるのかと、ある意味 楽観視していた。 ところが いつまでたっても、自分はおろか、継の匂いまでも感じなくなっていた。 感じるのは、戸惑いや不安、悲しみといった負の感情のみ。 俺からも継を思う匂いがしない… どうして??? なぜ?なぜ? いつもの甘狂おしいあの匂いがしない。 まさか…継の心が離れていった? 俺のこと…嫌いになった? あんな奴らに簡単に攫われて、ひょっとして何かされた、身体を汚されたと思って嫌になった? どうしよう… 焦れば焦るほど、継からは戸惑いの匂いしかしない。 一体どうなってしまったんだろう… 継に嫌われた… 匂いがしなくなるほどに 俺は 継に 嫌われてしまった… あまりのショックで胸が張り裂けそうになった。

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