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温泉で いちゃいちゃ①

side:詩音 お互いの気持ちをしっかりと確かめ合った俺達は、何度も何度も貪るように求め合い、繋がった。 もう、本当にこれ以上は…という息絶え絶え寸前で、やっと継がその行為を止めてくれ、俺は寝込まずに済んだ。 それでも、食事もここに来た時と同じように、膝の上に抱き手ずから一口ずつ食べさせられ、風呂も一緒で頭から爪先まで磨き上げられる。 何もしていない時にも膝に抱くか、肩を抱かれてくっつかれ、トイレ以外は俺を片時も離さない。 流石に耐えかねて訴えた。 「継、もう、構わなくて大丈夫ですからっ! そろそろ帰りましょう。 俺も元に戻ったし、皆さんに迷惑がかかります! それに、お金を使い過ぎですっ!!」 「いいじゃないか。のんびりすれば。 一週間や二週間社長が不在でも、優秀なブレーンがいるんだから大丈夫だ。」 「そんな…甘えてばかりじゃダメです! 社長たるもの、人様の上に立つ立場なら、尚更のこと自分を律しなければ!」 「篠山さんにもちゃんと伝えてるんだ。 詩音が元に戻ったって。 そしたらさ『せっかくですから、このままごゆっくりなさって下さい』って言ってくれたし。 結婚式の段取りもしなくちゃいけないしさ。 水曜日まではここでゆっくりして、式場にも行ってこないと。 いろいろとあったから、打ち合わせができてないんだ。」 俺が怒っているのを感じたのか、しょんぼりしているように見えた継は、ちょっとだけ小さな声で言い訳をした。 確かにいろいろあり過ぎた。 暴漢に襲われたり、発情期に突入したり、誘拐されて売られそうになったり、挙げ句の果ては、たった今まで番拒否症候群になっていた…

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