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温泉で いちゃいちゃ⑤
俺も意固地を張らないで、ダメージの大きかった心を癒すために、いただいた休みを継と過ごすことにした。
迷惑をかける分は、仕事に復帰してからお返しすることにしよう。
こんな俺でも必要だと言ってくれる人達のために、皆んなが働きやすい環境を整えてあげたい。
「詩音、何考えてるんだ?二人っきりの時は、俺のことだけ考えてくれないか?」
甘えるように腕を絡めてくる継の頭を撫でながら
「…せっかくだから、ここにいる間は思い切って甘えます。
でも、仕事に戻ったら、皆んなのために働きたいんです。」
「休暇の間だけじゃなくて、いつでも甘えてほしい。
でないと、俺が詩音不足で死にそうになるから。」
こめかみから頬を掠め、唇へ軽いキスを落としてくる。
「…継は、俺を甘やかし過ぎです…」
「いいじゃないか。俺だけに甘えておいで。」
本当にもう、この人は、どれだけ俺を溺愛するのだろうか。
でも…それも心地良くて…
思い切って甘える…とは言ったものの、これまで、家族にすら甘えたことがないから、どういう風にすればいいのかさえ、はっきりとは わからない。
甘えのボーダーラインがわからないのだ。
「ねぇ、継…」
「ん?どうした?」
「俺…“甘える”って、どんな風にしたらいいのか…はっきりとわからないんです…
どこからどこまで?…どうしたら…」
「…詩音は俺といる時、どうしたら安心するんだ?」
「どうしたら?…えーっと…一緒にいて…頭を撫でてもらったり、くっ付いてたり、抱きしめられたり…その…キス、されたり…」
「俺がすること全部…ってこと?」
「…あ…はい、そうですね…」
改めて言われて気が付いた。
継が俺にしてくること全部、安心するんだ。
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