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ご対面①
温泉から帰ってからも継のベタベタは直らなかった。
事あるごとに、俺に引っ付き抱きしめキスの雨を降らせる。
堪り兼ねて抗議した。
「継、お話があります!」
「なーに?そんな怖い顔して…どうしたの?」
「あの…くっつくの止めて下さい!」
「…どうして?」
「だって…とにかくっ!普通にしてて下さい!
くっつき過ぎです!」
「いいじゃないか、夫夫なんだから。
あれ?ちょっと待って。電話だ。急用かも。」
継が隣の部屋で鳴っている電話を取りに行ってしまった。
もう…嫌な訳じゃないんだけど。
慣れないから…どうしていいのかわからない。
毎日こんなのに慣れてしまったら、もし継が居なくなったら、一人でいることに耐えられなくなる。
継が話しながら戻ってきた。
俺の隣に座ると、自分の太腿をぽんぽんと叩く。“ここに座れ”と言ってるのだ。
目が訴えている。
はあっとため息をついて横抱きになるように座った。
「で?何時に着くの?」
「えーっとね…成田に16時頃かな。
あ、お迎えはいらないよ。勝手に帰るから。
実はもう予約してあるんだけど、明日お昼ご飯を一緒に食べないか?で、そのまま詩音君のご両親にご挨拶に行きたいんだ。
すっかり遅くなってしまったんだけど、一日も早くお会いしたいから。
あ、もう連絡してるから。先方さんにはご了解いただいてるよ。
それと式場にもね。」
電話の相手って…継のお母さん!?
「えっ、もう?相変わらず手際の良いことで。
わかりました。じゃあ明日、一旦伺います。
時間は?」
「そうだな…10時頃はどうかな?詩音君とも話がしたいし。」
「そうだね…一旦切って掛け直すよ。待ってて。」
どうしよう…ドキドキしてきた…
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