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ご対面⑧

「詩音君?どうしたの?」 お義母さんがオロオロと尋ねる様子に、ふるふると首を振って涙目のまま、心配かけちゃう、何か言わなきゃと思っていると、横から継が俺を奪い返すように抱きとめて 「二人に会うのに心配し過ぎて緊張してたんだ。 受け入れてもらってその糸が解けちまったんだよ。 俺の詩音は繊細なんだ。 お袋も何だよ…いきなりハグしやがって。 俺の詩音なのに…」 「あー、そっかぁ…ごめんね、会えたのがうれしくって。 さ、こっちに座って!」 そっと頭をなでてくれたお義母さんに、再び手を取られてソファーに座らされた。 すかさず継が横をキープして、俺の腰を抱いてぴったりとくっ付いてきた。 お義父さんはそんな俺達の様子を相変わらずニコニコしながら見ていた。 コーヒーのいい香りとともにお義母さんが現れ 「びっくりさせちゃってごめんねぇ。」 「いいえ!私の方こそ申し訳ありません! ごめんなさい…」 お義母さんはゆっくりと俺の側に跪いて、両手をぎゅっと握ってきた。 固まる俺に 「詩音君、ようこそ麻生田家へ。 継のお嫁さんになってくれて、うちの子になってくれてありがとう。 ワガママでヤンチャな子だけど、末永くどうぞよろしくお願いしますね。」 「お義母さん…」 俺もぺたんと床に座り込んで、お義母さんに縋り付いて、わんわん本格的に泣いてしまった。 お義母さんは俺を優しく抱きしめると、俺が泣き止むまで背中を摩ってくれた。 甘くてあったかくて、優しいお日様の匂いがした。 「…お袋…俺の詩音を泣かすなよ…」 ボソリと継が呟いた。 それを無視したお義母さんは、そっと俺の顔を拭いてくれた。

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