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ご対面⑨
「もう、大丈夫!心配することなんかないから!
コーヒー、冷めちゃったから入れ直して…あら!パパ!?気が効くねぇ…パパ!ありがとう!
詩音君、継もこのくらい躾しないとね!ふふっ。」
お義母さんは得意げに笑うと、もう一度俺の目元をそっとティッシュで拭いて、ソファーに座らせてくれた。
歳を重ねても尚 整った顔立ちで、美魔女とでも言いたいお義母さんは、篠山さんが『美人』と言っていたのも納得で、所作も美しい。
ぽぉーっと見惚れていると、小首を傾げて微笑まれた。
そして、思い出したように急に真顔になると
「…いろいろと大変な目に遭わせてしまって…本当にごめんなさい。
こちらがもっとしっかりとしておけば防げたことだっただろうに…
大丈夫なの?しばらくゆっくりと休めばいいんだよ?」
「いえ!もう、大丈夫です!
昨日まで温泉でゆっくりさせてもらいましたし、本当に大丈夫です。
ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした。」
「それでも…無理しちゃダメだよ!
継!わかってるね!!」
「言われなくても、詩音のことは俺が」
「継、お前の大切な伴侶なんだ。俺達にとっても、詩音君はもうかけがえのない家族の一員なんだ。」
お義父さん!
「生涯大切に。何があっても離れない。
俺もそんな気持ちで、かーちゃんに愛を注いでいるよ。」
「パパったら…」
飛び交うピンクのハートと甘いチョコレートのようなまったりとした濃厚な甘い匂いが…
お義父さんの横に座ったお義母さんは、うれしそうに寄り添った。
「素敵…」
思わず口から溢れた言葉に、お義母さんが
「あなた達もそうなるよ。継に思いっ切り甘えなさいね。」
とウインクした。
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