226 / 829
ご対面⑩
そんな俺を見ていた継は、お義母さん達に負けじと俺にくっ付き、また腰に手を回してきた。
と、そこへ…
ばたーーん!
「ただいまー!お嫁ちゃんはどこー?
あっ!詩音君!初めましてー!継の兄の潤ですっ!
こっちは俺の嫁の右京。よろしくね!」
え…お兄さん?継に兄弟なんていた?
お兄さんに手を取られ目を白黒して固まる俺に、継が
「あー…仲人の香川先生と一緒に詩音の両親と食事会した時に、家族構成からいろいろと話したんだが…詩音は…きっとキャパオーバーで頭に入ってなかったんだな…」
はっと気付いて立ち上がった。
「申し訳ありませんっ!詩音です。
どうぞよろしくお願い致しますっ!」
「こちらこそ!麻生田家の一員になってくれてうれしいよ!」
「詩音君、初めまして。右京です。
困ったことがあったら何でもいいから俺に相談してね。」
「はい!ありがとうございますっ!」
うわぁ…びっくりしたぁ…
継と似た顔立ちのお義兄さん…αの匂いがぷんぷんする。けど、嫌味のない、スッキリとしたメンソールのような爽やかな匂いがする。
右京さんアイドルみたいな顔…キリッとした炭酸水のような、それでいて穏やかで甘い匂い。
あれ?
もう一つ匂いがする。
もしかして…俺はこっそりと小声で右京さんに耳打ちした。
「右京さん、ひょっとして…赤ちゃん、います?」
「え…潤にしか言ってないのにどうして?」
「赤ちゃんの匂いが…」
「そう!君、わかる子なんだね!今日、君達に会うのと、お義父さん達に報告のために来たんだ。」
「おめでとうございます!皆さん、喜ばれますよ。俺もうれしいです!」
「ありがとう。君達もすぐに…」
お義母さんの朗らかな声が響いた。
「さぁ、これで麻生田家全員集合だね!」
ほのぼの…という言葉がぴったりの匂いが部屋中に広がっていった。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!