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麻生田家①
何てマヌケなんだろう。
自分が自分で嫌になる。
嫁ぎ先の家族構成も知らないなんてバカにも程がある。
いくらあの時ぼんやりしてたからと言って、大切なことを何一つ聞いていないなんて。
きっとみんな俺のことを“ダメ嫁”認定しただろうな…
継にも恥をかかせてしまった…
「ねぇ、詩音君?」
落ち込んで少し涙目の俺に右京さんが声を掛けてきた。
「…はい?」
「あのね、俺もね、潤のことも全く知らず、ましてや潤の家族が何をしてるかも知らないまま番になって、籍を入れてから、ここに連れてこられたんだよ。」
「えっ!?」
お義兄さんが話に割って入ってきた。
「いやぁ、お互いにすごいフェロモンで。
今まで嗅いだことのない滅茶苦茶いい匂いに誘われて入った花屋に右京がいてさ。
あ、右京はそこの店員だったんだ。
俺は営業の途中だったんだけど。
一目見て『ドッカーーーン』って脳天に雷が直撃したみたいな衝撃で。
気が付いたらホテルに連れ込んで、頸噛んでた。あははっ。」
「『あははっ』じゃないでしょっ!
俺はあの時、どこの誰かもわからない男に頸を噛まれて、この世の終わりだと思ったんだからっ!」
「ごめん、ごめん!
流石にこれはマズいと思って、速攻で籍入れてから、親父とお袋に紹介したんだよ。」
「あの時はいつもは冷静なお袋が、馬乗りになって兄貴をボコボコに殴り倒したもんな。」
え…お義母さんが…
「うちの息子が二人ともそうだとは思わなかった…継も一発張り倒したかったんだけど何せ海外だったからなぁ…
でも、二人ともこんなかわいいお嫁ちゃんを連れて来てくれるなんて…やり方はマズかったけど、どちらも運命の番だからね、仕方ない部分は認めるよ。
…まぁ、結果オーライだから。」
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