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両家揃い踏み①
食事を済ませて自宅へ向かう。
自分の家なのに緊張する。
「あー、やっぱり緊張するぅ…パパ、俺、変じゃない?」
「かーちゃんはいつもイケメンだよ♡
今日のスーツもよく似合ってる。」
後部座席から激甘の香りがしてくる。
こっそりと継に聞いてみた。
「ねぇ?お義父さんとお義母さん、いつもこんな感じ?」
「ん?あぁ…これが普通だよ。」
「…そう、そうなんだ。」
いつまでも新婚さんみたいな甘々カップル。
二人ともお互いが好きで堪らないんだなぁ…うらやましい…なんて思っていたら、信号待ちで不意に陰が射したと思ったら、一瞬唇に柔らかなものが触れて、離れていった。
えーーーっ!キスっ!?
後ろにお義父さんとお義母さんいるのにっ!?
そう言えば香川先生と伊織さんいた時にもやられた!
ぼっと顔が赤くなり、運転席の継を見ると俺の方を向いていて。
口角が上がり、してやったりの顔をしていた。
「けっ、継っ!何で!?」
「そんな顔してたから。」
「『そんな顔』って!?」
「いいじゃん、俺もしたかったし。」
恥ずかし過ぎて、ぷしゅー っと音が出そうなくらいに茹でダコみたいになった俺。
そんな物欲しそうな顔してたのか…
そんな俺に気付いてない風の後ろのお二人は
「今日のパパのネクタイ素敵!」
「かーちゃん、痩せた?もっとしっかり食べなきゃ。」
「あっ、そんなとこ今触らないでって!」
等々…二人の世界に突入していた。
よかった…気付かれてなかった…
密閉した空間で甘い匂いに当てられそうで、思わず窓を少し開けた。
雑多な匂いが雪崩れ込んできて、ちょっとホッとした。
「さぁ、着いたぞ。」
車は滑るように駐車スペースへ停まった。
「気合い入れて…行きますかっ!」
お義母さん!男らしい…
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