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両家揃い踏み③
「先日大々的に報道されたΩ誘拐事件、ご存知ですよね?」
「はい。」
「私達も帰国してから詳細を聞いたのですが…
実は詩音君も誘拐されて…幸いなことに無事に救出されたのですが…
その前にも一度襲撃されて…この時はうちの秘書がいたので大事には至りませんでした。
結果的に大切な息子さんを巻き込む形になって、大変申し訳ありませんでした。
私達がもっとしっかりとガードしていれば、防げたことだった…
詩音君には怖い目に合わせてしまって、本当に申し訳なかった。
二度とそんな目には遭わせないと、ご両親の前で約束させていただきます。
本当に申し訳ありませんでした。」
お義父さんとお義母さんは、座布団から降りて畳に頭を擦り付けんばかりにしている。
横を見ると、継も同じように頭を下げている。
驚いたのは俺と両親だった。
「麻生田さん!お願いですから、頭を上げて下さいっ!
そんな、そんな土下座なんて!
頼みますから…」
お義父さん達はやっと頭を上げた。
「麻生田さん…私達は、全部知っています。」
「えっ!?」
「警察に知り合いがいるので…そういう情報は…特にΩに関することは、全て私の耳に入ってきますから…」
「…そうでしたか…」
「麻生田さん、黙っていればわからないだろうに、どうしてわざわざ私達に謝罪を?
このことで破談になるとかお考えにはならなかったのですか?」
「もちろん、考えました。
でも、黙っていたり嘘をついたり誤魔化したりすると、せっかくご縁のあったあなた方と、今後真っ直ぐなお付き合いができなくなります。
間に入る詩音君にも辛い思いをさせることになる。
私達は商売上もそうですが、損をしても正直な生き方を心掛けるようにしています。
二人の思いは真剣でしたので、反対されてもこれは添い遂げさせてやろうと思っていましたから…」
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