233 / 829
両家揃い踏み④
お義父さん、お義母さん…
そんな風に思ってくれてたんだ…
もう、俺は言葉も出なくて、ポロポロ涙を零していた。
継は俺の手を握りしめている。
緊張しているのか、感動しているのか、継の手も微かに震えているような気がした。
俺はお義父さんとお義母さんの真っ直ぐな生き方に感動して、この二人に育てられた継も同じだと確信していた。
「とにかく謝りたかったんです。
慈しんで愛情込めて育てた我が子が、結婚して家を出た途端に危険な目に遭わされて…
普通なら結婚解消、訴えられても仕方がないこと。
それでもあなた方は私達を責めなかった。
本当に、本当に申し訳ありませんでした。」
そう言ってお義父さん達はまた頭を下げた。
「もう、もう、いいんです!
事実も全部わかってます!あなた方のせいではないことも!
でも、今日、こうやって来て下さって、きちんと謝って下さって…
詩音のことを大切に思って下さっているのが直にわかったので…
あぁ、どうかもう、頭を上げて下さい!
実は…今日、何も仰らなければ、それなりの付き合い方をしようと思っていたんです。
あなた方のような御両親のお家に嫁ぐことができてよかった…
不束な息子ですが、どうか詩音のことをよろしくお願い致します。」
今度はお父さんとお母さんが頭を下げた。
俺も慌てて頭を下げた。
一瞬の沈黙の後
どちらからともなく笑いが起き、父親同士がガッチリと握手をしていた。
そしてお父さんと継が。
そっとドアが開いて、義弘さんがお茶を持って現れた。
義弘さんも目が潤んで真っ赤になっていた。
「詩音君、よかったね…」
精一杯微笑んで頷いた。
蓋を開けた途端に香る桜茶と、部屋中に香る安堵の匂いが俺達を包んでいた。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!