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両家揃い踏み⑦
帰りの車の中で
「お義父さん、お義母さん、今日は本当にありがとうございました。
俺、そんな風に思って下さってるって知らなくて…」
「詩音君、君の御両親は立派だ。
私達も気兼ねなく本音でお付き合いさせてもらえる。
いいご縁ができて本当にうれしいよ。
なぁ、かーちゃん。」
「はい、お二人とも気さくな方で。
詩音君、本当に大切に育てられたんだね。
継のお嫁さんになってくれてありがとう。
さあ、今夜はご馳走だよ!
詩音君が家族になったお祝いと、もう一人家族が増えるお祝いと。
右京君が悪阻になるまでに美味しいものたくさん食べさせなきゃ!
継!帰りに買い物して帰るからよろしくね!」
「どこに寄ればいいの?」
「そうだな…いつも行ってるとこ!」
「んー、わかった。」
スーパーに着くまでに、好き嫌いはないか とか、得意料理は何 とか、いろいろ聞かれた。
お義母さんは
「あー、久し振りに台所に立つから勘が鈍ってるかも…詩音君、悪いけど手伝ってくれないかな?」
と甘えるようにお願いされ
「俺でよければ、いくらでも!」
と答えると
「やった!『私』が やっと『俺』になった!
遠慮なんかいらないから。」
とうれしそうに言われ、尚且つお義母さんからいろんな花を束ねたような優しい香りがしてきて
「ありがとうございます…」
と返すのが精一杯だった。
話し上手のお義母さんにつられて、拙いながらも俺もいろんなことを話した。
お義父さんも話に乗ってきて、それに継が茶々を入れて。
車内は笑いに満ちていた。
少しはお二人に慣れたのかな。
俺みたいなのに気を遣ってくれて申し訳ないくらい。
甘えることができる人達が…また増えた。
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