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右京さん④
二人で鼻をかんで、また顔を見合わせて笑った。
「うちのお嫁ちゃん達は最高だな!
さあさあ、お嫁ちゃん達。
こっちもやっつけていくよー!
右京君、座ってジャガイモむいてー。
詩音君、さっきの続きね。」
お義母さんが陣頭指揮をとって、次々と料理が出来上がっていく。
美味しそう!
三人で笑いながらつまみ食いをして、俺は美味しそうな匂いと、優しい匂いに包まれて、幸せな気分で一杯だった。
食卓には、煮物、天ぷらに唐揚げ、刺身にサラダ、酢の物に漬物。刺身以外はお義母さんご自慢の品々。
一斉に皿に群がる様は、餌に飢えた狼達か?
「美味しいっ!レシピ教えてもらっても同じ味にならないんだ…お義母さん、今日も美味しいよ…」
右京さんが隣で呟いてる。
「俺の作るのと全然違う…美味しいっ!」
俺も夢中になって箸を動かす。
ダンナ連中は無言でかっ込んでいる。
そんな俺達をお義母さんはニコニコと笑いながら見ている。
「…お義母さん?召し上がらないんですか?」
気になってそっと尋ねると
「こうやって、みんなでご飯食べるのが夢だったんだ。
潤にも継にも、ちゃんとお嫁ちゃんが来てくれて…うれしい…
右京君、詩音君。うちの子になってくれて、本当にありがとうね。」
「お義母さん…」
また泣きそうになるのを横から右京さんが
「もう、お義母さん!泣かしちゃダメ。」
と笑いながらブロックする。
そして
「こんな俺を嫁だと認めて下さってありがとうございました。
お義母さん、大好きです!」
って言うもんだから、今度はお義兄さんが
「お袋ぉ!俺の右京を取るなよっ!」
とヤキモチを焼いて間に割って入ってくる。
それに継まで加わって…
みんなの会話が入り乱れての、賑やかな…賑やか過ぎる晩餐となった。
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