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ヤキモチ焼きの獣①
「えらく楽しそうだったな。」
帰りの車の中で継が少し不機嫌そうに言う。
「はい!お義母さんと右京さんと料理できたし、いろんな話ができて…すっごく楽しかったです!
また遊びに行きたい…俺一人でも行っていいですよね?」
「詩音…」
「はい?」
「何か…忘れてないか?」
「え?忘れ物?…何も忘れてないですよっ。」
「しおーん…わかんない?」
「???」
それっきり継は黙ってしまった。
何?何だろう…
継からはいつもより数倍濃い甘い匂いと、かなり不満な匂いが混ざったものが発せられている。
考えてもわからない。
継が不機嫌になる時…
あっ!わかった!
長時間、俺に触れてないから、くっついてほしいんだ!
俺はハンドルを握る継の左手に、自分の右手をそっと重ねた。
ピクリと跳ねた継に
「ごめんなさい…継を忘れてなんかいませんよ。
帰ったら…ぎゅって…して下さいね。」
瞬間、沸騰したように ぼふっと真っ赤になった継は
「チッ…無自覚に煽りやがって…」
と呟くと、更にスピードを上げた。
無言の車内には、濃厚な甘い匂いが絡み付いて、その匂いを嗅いでいるだけで身体が火照ってくる。
継からは止めどなく甘ったるい匂いが出続け、息をするのも苦しくなってきた。
駐車場から引き摺るように連れて行かれ、部屋に入ると横抱きにされ、ベッドに放り投げられた。
バウンドする身体に継が覆い被さってきた。
犬のようにくんくん俺の匂いを嗅がれ、服を破りそうな勢いで脱がされていく。
「継!継、落ち着いて!
俺はどこには行かないからっ!」
それでも継の動きは止まらない。
あっという間に、俺も自分も真っ裸にすると、ぎゅうぎゅうと抱きしめてきた。
「詩音…あー、詩音だぁ…」
俺も負けじと抱きしめ返す。
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