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ヤキモチ焼きの獣②
唇に柔らかな感触がする。
長い、長い、優しいキス。
角度を変え、唇を舐められたりするけれども、継の舌は中々口内に入ってこない。
…焦らされている?
もどかしくて、おもわず腰が揺れ始めた。
継はやっと唇を離すと
「詩音、もっと俺を欲しがれ。俺だけを求めろ。」
と耳元でささやく。
「そんな…そんな意地悪しないで!
いつもみたいに、俺を抱いて!」
チッと舌打ちをした継は
「…ったく…せっかくゆっくり抱いてやろうとしてんのに…もう、手加減しないから…そのつもりでいろ!」
貪るように唇に吸い付いてきた。
「んんっ!」
ぬるりと舌が侵入してきた。
夢中でそれに自分の舌を絡めていく。
舌の動きが一瞬止まった。
きっと俺の動きに戸惑っているのだろう。
俺は自分から仕掛けたことはないから。
唇が離れていく。銀の糸を引きながら。
「あっ…」
え?どうして?何かマズかった!?
不安を抱えながら継を見上げる。
継は上からじっと俺を見下ろすと
「詩音…そんなかわいいことするなんて…
すっげぇエロい顔してるの、わかってる?
明日立てないくらいに抱くからそのつもりでいて。」
堂々と宣言すると、また舌をねじ込んできた。
「んふっ」
息継ぎもできないほどの激しいキス。
継の舌は、別の生き物のように縦横無尽に動き、俺を翻弄していく。
もう、キスだけで腰が抜けそうに感じている。
くったりと脱力した俺を見て、継は満足気に微笑んだ。
「かわいいなぁ、詩音。
キスだけでこんなに蕩けちゃって。
今夜はこんなんじゃ済まないから。お前が煽ったんだから、責任取って。」
喉元に噛み付かれた。実際は甘噛みだけれど、本当に喉笛を食い千切られると思った。
それでもいい。
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