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ヤキモチ焼きの獣③
「お袋や右京さんとベタベタして…
俺がどんなにイラついてたのかわかってるんだろう?」
「だって!
お義母さんは継のお母さんで、右京さんはお義兄 さんでしょ?
同じ嫁同士で何で仲良くしちゃいけないの?」
「チッ…嫁同士で過度なスキンシップはするな!」
「そんなの…
…えっ…まさか…継…ヤキモチ?」
継はふいっと横を向いてだんまりを決め込んでいる。
何だかおかしくなってきた。
継が…お義母さんと右京さんに、ヤキモチ?
ありえない!
何を心配するの?
くすくすと笑うと継は
「何がおかしい」
と、起き上がると拗ねて背中を向けてしまった。
「…継?」
甘えた声を出して、その背中におぶさるように、ぴったりとくっ付いていると、くるんと向きを変えられて横抱きにされた。
「お前は俺だけ構ってればいいんだ」
なんて俺様発言をした継に
「俺様横暴!お義母さんに言いつけます!」
「…チッ…お袋め…変な入れ知恵付けやがって…
いいか?詩音。お前は俺の嫁。俺だけのもの。
俺の側にいて、俺を構って、俺のことを愛してくれればそれでいいんだ!」
「…継のことは一番愛してますよ!
そんなの…わかってるでしょ?
でも、お義母さんや右京さんも大好きです!
だから、今日みたいに三人で仲良く料理作ったり、遊びに行ったりしたいです!
…俺をどこかに閉じ込めるつもりですか?」
じっと継の瞳の奥を見つめる。
曇りのない澄んだ瞳。
拗ねたような戸惑うような匂いがふわりふわりとしてくる。
「継?俺が一番愛してるのはあなたですよ?
そんなに自分に自信がないですか?」
ちょっと挑発してみた。
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