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ヤキモチ焼きの獣⑩
何かを掴もうとする手は力なくシーツを滑っていく。
それを見た継が、俺の手を掴み
「詩音…愛してる…一緒にイこうな…」
優しくささやかれ、胸が踊る。
継がほしくて。
継だけがほしくて。
あぁ、こんなにも、あなたを愛しています…
溢れる想いをどう伝えたらいいのかわからない。
瞬きすると零れ落ちる涙。
「すまない…痛いのか?」
継が抽挿を止めてしまった。
慌てて首を左右に振った。
「違うんです!違うの!
…継がほしい…継を愛してる…んむっ」
それ以上の言葉を発するのを唇で塞がれた。
ねっとりとした舌遣いで口内を蹂躙される。
どちらのものともわからぬ、おそらく二人の混濁した唾液がシーツに落ちていく。
獰猛な獣は俺の心も身体も喰らってしまった。
息を荒げくったりとなった俺を見下ろしている継は、またゆるゆると腰を動かし始めた。
じわじわと快楽の波が押し寄せ、あっという間に先端に熱が溜まる。
「ひやぁっ」
ヒクつく俺自身を握り込まれて擦られ、後孔は継の楔に蓋をされ、前も後ろも同時に責められた俺は、もう我慢の限界だった。
「…継…もう、イっちゃうっ…」
「もう少し…待って…」
「ん…だめっ…イく…イっちゃうっ」
一際強く打ち付けられ、俺の中がきゅうっと収縮し、それと同じくして継の楔が膨れ上がり、俺の最奥が温かくなった…継が達したのだろう。
「あぁぁぁっーーーっ」
ふるふる震えながら背中を反らせて、継を受け止めた。
その射精は長く激しかった。
出し切っても、コブはまだ抜けない。
継が満足するまで小さくならないから。
継は俺の頭をひと撫ですると、申し訳なさそうに言った。
「悪いけど、抜けるまで付き合って…」
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