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家出人その2①

二人で仲良く並んで食器洗いをしながら 「詩音、朝から両親や兄貴夫夫まで押しかけてきて騒がせて済まなかった。 親父と兄貴はきっちり締めておくから。」 「いいんですよ。 お義父さん達は誤解だってわかったし、お義兄さんは…その…ちゃんと右京さんの体調を一番に考えるって約束してましたから。 お義母さんも右京さんも、あんなに愛されてるんですね…」 「そんな羨ましそうに… 俺の愛が足りてないのか?…どうなんだ?詩音。 もっとたっぷりと分からせないといけないのか?」 「ふえっ!?そんな、そんなことないですっ! 継がいつも俺のことを一番に思ってくれてるの、わかってますから! ね?だから、そんな…迫ってこないで…」 俺は布巾とお皿を持ったまま壁に押しやられ、逃げ場を失っていた。 「…俺が寄っていくのが嫌なのか?」 「そうじゃありませんって! 今、片付けてる最中じゃないですかっ! お皿割ったらどうするんですか?これ、高いんですよ!勿体無いでしょう!?」 ふるふる震えながら抗議する俺から、継が無言で離れていく。 眉間にシワが寄り、不機嫌オーラと不貞腐れた匂いがぷんぷんする。 あれ?あっさりと諦めた。 少しホッとして続きをするけど、継は黙ったままだ。 ちりちりと苛立つ匂いが立ち込める。 怒らせた?そんなことくらいで…もう、子供じゃん。 何だか理不尽で、段々腹が立ってきた。 喧嘩になる前にお義母さん()に避難しよう! さっさと片付けて寝室へ駆け込むと、必要なものを詰め込んで、継がシャワーを浴びている間にそっと家を出た。 もちろん置き手紙も書いた。 『喧嘩したくないのでしばらくお義母さんの所で頭を冷やしてきます。 落ち着いたら戻ります。 詩音』

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