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家出人その2⑥

俺は、こちらもお義兄さんに、がっちりと肩を抱かれ手を繋がれた右京さんのところへ近寄り 「右京さん、聞いてほしいことがあるんですけど…できれば二人で…」 とお願いした。 右京さんはにっこり微笑むと 「潤?そういうことだから俺達二人であっちに行くね。 はい、手を離して。」 お義兄さんの頭をよしよしと撫でて「いい子で待っててね」と頬にキスする右京さんに、うーっと唸りながら、残念そうに手を離すお義兄さん。 「お義兄さん、ちょっと右京さんお借りしますね。」 と断って、連れ立って隣の部屋に行った。 「ちょっと待っててね。」 と席を外した右京さんは、間もなくトレイにお茶とお菓子を持って現れた。 「はい、どうぞ。召し上がれ。 何か悩み事あるんでしょ?何でも聞くよ。」 俺はふぅーっと大きく息を吐いて、覚悟を決めて言葉にした。 「ありがとうございますっ。 あの…あのですね…」 「うん。」 「あの…継が、その、激しすぎて…さっきも、うちのキッチンでそういうことしようとしてきて…俺、片付けの途中だったし、昼間っから嫌だったし、体力ないし…で、拒否したら、険悪なムードになっちゃって… それが喧嘩の元になるのが嫌で、逃げ出したんです。 どうやったら上手く断れるのか…教えて下さいっ!」 「あぁ、やっぱりソッチ系の話か… うちの潤もそうだけど、継君も激しそうだもんね。流石『絶対的α兄弟』。」 あははっと右京さんが大笑いしている。 「全力で番を愛するから、重たいのなんの。 その愛した番と何らかの理由で別れるようなことになれば、その後は一生独身を貫くらしい。 そのくらい愛情深いんだよ。」

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