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獣達の密談①
side:継
詩音が『話をしたい』と言って、右京さんと部屋を出て行ってしまった。
寂しい…
詩音が足りない…
ふと視線を感じて前を見ると、兄貴がじっと俺を見ていた。
「兄貴…何?」
「おい、継。お前のせいで右京とのいちゃいちゃタイムがなくなっちまったじゃないか。
大体、お前、盛り過ぎなんだよっ。
詩音君は喧嘩の理由をはっきり言わなかったけど、どうせお前ががっついて、ヤり過ぎたからだろう?
全く…限度を知れよ、限度を。」
「はぁっ!?兄貴だってそうじゃないかっ!
朝イチで右京さんに家出されたのは誰なんだよっ。
妊夫の安定期前の大事な時期に、盛ってエッチを迫ったの、兄貴じゃん!?
俺よりひどいじゃないか。
そんな兄貴に俺のことをどうこう言われたくないよ。」
「うーーーっ…それは、俺だって、海より深く反省してるんだぞ。
…ちゃんと右京にも土下座して謝ったし…
『まだ不安定な時期に、お腹の子にさわったらどうするんだ』って、お袋にもこっ酷く叱られた…お袋、怖かった…あの時の再来かって思うほど…頭にげんこつ食らって、ここ、コブになったんだぜ。
でも、仕方ないじゃん!右京のこと愛してるんだから!」
「そんなこと俺にカムアウトするなよ。
でもマジで右京さんの身に何かあったらどうするんだ?
流産でもしたら大変なことになるぞ!?」
「香川先生と伊織さんにも電話で叱られたよ。
何で知ってるんだ…情報網怖い…
俺、『ダメ旦那』のレッテル貼られちまった…
はいはい、どうせ俺はヤることしか考えてない獣以下の人間ですよーだ。」
「…少しは考えろよ。自分の子供のことだぞ?
違う方法で性欲満たせよ。」
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