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獣達の密談④
「はあっ。どの口がそんなこと言ってんだよ。
それより、俺は詩音不足で堪んないんだけど。
兄貴、平気か?」
「俺もそろそろ…右京を補充しないとヤバい。
禁断症状が出る…」
「なぁ、様子見に行こうよ。もういいだろ。」
「そうだな。ご機嫌伺いして…オッケーが出たら抱きしめる!」
「NOなら?」
「ふっ。決まってるじゃないか。
土下座でひたすらお願いするんだよ。」
「…兄貴…そんなキャラだった?」
「右京への愛が俺を変えたんだ!
継、俺は右京のためなら何だってやるぞ!」
「俺だって詩音のためなら何だってやるぜ!」
「…お前もそんなキャラだったっけ?」
「兄貴…俺達、ただの色ボケ?」
「それを言うなよ、継…番への愛が強過ぎるだけだよ。
あ、そうだ!
結婚式、右京も出席するつもりなんだけどさ、もし悪阻が酷くなったら横になれるように、控え室を長めに押さえといてほしいんだ。
その分の料金は俺が払うから。」
「あぁ、それは大丈夫。
式が全部終わるまで、自由に使えるようにしてあるから。
だから、右京さんも無理しないでできるだけ出席してほしいんだ。
そのほうが詩音も喜ぶよ。何だかすごく懐いちゃったみたいだしさ。
ちょっと妬けるよな。」
「ありがとう。流石気がきくな。
じゃあ、右京にもそう伝えるよ。
そうなんだよ。仲良くなったのはいいんだけどさ。
お袋だって…あの性格だからみんなが引き寄せられるのはわかるんだけど、右京も詩音君も『お義母さん、お義母さん』って。
ちょっと面白くない。」
「まさかお袋にヤキモチを焼く日がこようとは…
まぁ、とにかく、隣の部屋に行こうぜ。
俺はもう、限界だ!」
そうして俺達は恐る恐る愛する番にお伺いを立てて、無事に受け入れられたのだった。
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