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落ち込み③
継はその答えに 待ってました!とばかりに
「詩音!ありがとう…
できるだけお前に負担のかからないようにするから。」
と、ご機嫌でキスをしてきた。
そんな継の喜びとは反対に、俺は益々気分が滅入ってきてしまった。
あんな請うような目をされ、あれだけ言われたら『YES』と答えるしかないじゃないか。
それに俺が何を言おうと、先日みんなで結婚式場を下見に行って、細々 としたことも決めて、俺以外の全員がワクワクしてて。
もう、決定事項じゃないか。
日にちも挙式時間も全て。
絶対に…これは覆ることはない。
それでも継が俺に『お願い』と言ってくれたのは、継の優しさからだ。
このイラつくような、不安定な感情は何なんだろう…
結婚式に関する何もかもを放り出して逃げたいなんて。
あの荘厳でステキな教会で、大好きな継と永遠の愛を誓うって、すごいことなのに。
ただ素直に、みんなに『おめでとう』と言ってもらえばいいじゃないか。
俺の両親や兄さん達…俺がΩだったせいで、今まで散々迷惑や心配かけてきたから、俺の晴れ姿をきっと喜んでくれる。
継のご両親やお義兄さん、右京さんも、手放しで喜んでくれるはず。
それだけなのに、どうしてここまで卑屈になってしまうんだろうか。
「…詩音?」
何か物言いたげな継の瞳とぶつかった。
両方の目尻にそっと口付けられ、舌先で舐め取られた。
無意識に泣いていたのだ。
優しく髪の毛を梳 かれて、辛そうに問われる。
「…泣くほど嫌か?」
ふるふると首を横に振ると
「…泣くほど…それほどまで嫌な思いをさせてまで、式を挙げる必要はないか…
よし、一旦延期しようか。
詩音の気持ちが落ち着くまで…」
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