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落ち込みside:継②
「それに、まだ番拒否症候群が完治してないんじゃないかな…
あ、ちょっと待って!俊哉さんに聞いてみるよ。」
「やぁ、継!次から次へと…
伊織の言う通り、マリッジブルーだと思うよ。
それプラス…番拒否症候群は治ったように見えて、ふとした拍子にいろんな悪さをするんだ。
詩音君は人一倍繊細だから、他の人にとっては何でもないことも、あの子には心が折れるキッカケになってしまうんだろうな…
自分そっちのけで周囲が盛り上がっちゃって、ポツンと一人取り残されてしまったように受け取ったのかもしれない。」
「そう言われてみれば、式場の下見に行った時、やけに冷静だった…」
「継、まさか詩音君に『延期』だなんていってないだろうな!?
その言葉でまた自分を責め始めるぞ。
継の想いは十分理解してるはずだからな。」
「…………………」
「…やっぱり…言っちまったか…
良かれと思って言ったんだろうけど、きっとまた泣いてるぞ。」
「はぁっ…俺は一体どうしたらいいんですか?
あんな状態の詩音を見て、延期せざるを得ないでしょう!?」
「ゆっくりと話を聞いてやれ。
そして、誰のためでもない、二人のために挙式したいんだと伝えるんだ。
大丈夫。君の想いは伝わるから。」
「継君!?
詩音君、本当はちゃんと理解してるんだよ。
君の想いもみんなの祝福も。
ただ、幸せ過ぎてそれを受け止めきれないだけなんだ。
だから、あの子の気持ちも理解してあげてね。
薄いガラスのような心の持ち主だから…」
「…はい、ありがとうございました。
俺なりに…受け止めます。」
「頑張ってね!じゃあ、お休みなさい。」
「遅くに申し訳ありませんでした。
お休みなさい。」
はぁっ…ため息をついてドアを開けると…
詩音!?
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