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落ち込みside:継⑧
甘い匂いにクラクラする。
堪り兼ねて声を掛けた。
「詩音…すぐに行くから待ってろ。」
片付けもそこそこに、吸い寄せられるように詩音の元へ駆け付ける。
大人しく黙って座っている詩音の頬は上気し、ほんのりと紅く染まり、潤んだ目で俺を見つめていた。
「…詩音…そんな切ない顔をするな…」
跪いて腰を抱きしめ、甘えるように柔らかな太腿に顔を寄せた。
詩音の身体は一瞬ぴくりと跳ねたが、俺の肩に手を置き、髪の毛を愛おしそうに撫で始めた。
「…継…大好きです…本当に…」
上目遣いで詩音を見ると、ふにゃりと蕩けそうな笑顔で、それだけで俺はノックアウトされた。
瞬時に立ち上がると、姫抱きにした詩音をベッドへ運び、のし掛かってキスの雨を降らせる。
「んっ、んむっ…んっ、んんっ」
顔を左右に振り、身を捩って抵抗する詩音を軽く拘束して、ひたすらにキスする。
「んっ、待って…んっ、継っ!仕事っ!仕事…むぐっ…仕事に!…んっ」
俺の肩を押し返し、精一杯の抵抗をする詩音の『仕事』という言葉に、はっと気付いた。
そうだった…今日は平日…仕事だ…
確か午前中に会議が入ってたはず…
はぁぁっ と大きくため息をついて、じゅるるっと大きな音がするディープなキスを最後に一つ、詩音に送った。
詩音は大きく息が上がっていたが
「継…支度しなくちゃ…遅刻します…
ごめんなさい。変な誘い方して…」
消え入りそうな声で謝ってきた。
そんな詩音が愛おしくてかわいくて、また ちゅっ とキス。
「残念だが…時間だな…今夜はこの埋め合わせをしてもらうから…」
それから慌てて順番にシャワーを浴びて支度を済ませると、指を絡めて出社したのだった。
そして、無理矢理 定時にダッシュで帰ったその夜…詩音を散々啼かせて動けなくした…
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