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落ち込みside:継⑩
俺の腕の中で詩音が暴れる。
「継、継!離して!ここ、会社ですっ!」
「ダメだ!詩音を充電させろ!」
一度言い出したら聞かない俺に諦めた詩音は、はぁっ…とため息をついて抱かれていた。
「はいっ、充電完了!さぁ詩音、帰ろうか。」
「もう、継は…会社でしないって…」
ブツブツ文句を言いながらも許してくれる詩音が愛おしい。
「篠山さん、お先に失礼します。あと、よろしくお願い致します。」
「はい、お疲れ様でした。
社長、詩音様、お気を付けて。」
ありがとうございました…と篠山さんに丁寧に声を掛ける詩音と手を繋ぎ、家路を急いだ。
「もう…継ったら…会社では止めて下さいってあれほどお願いしてるのに…
あんなことするならもう一緒に、帰らないですよ。」
「そんなこと言わないで…詩音不足で家まで持ちそうになかったんだ…」
詩音に叱られて しゅんと項垂れると、隣からふわりと優しい匂いがした。
ちらりと見ると、愛しの伴侶が微笑みを浮かべて俺を見ていた。
「詩音…」
手を引いて抱きつこうとする俺を制して
「継、ここでは嫌です。お家で二人っきりになったら…ね?」
ぶわっと詩音を包む俺のフェロモン。
はしたなくもアソコも半勃ちだ。
詩音は一瞬後退りしたが、自分が煽ったことに気付いたのか、頬を染めため息をついて呟いた。
「継…『や・さ・し・く』ですよ…」
全く…無自覚天然の俺の伴侶は…俺を萌え狂い死にさせるつもりなのか。
ううっ…鎮まれ、鎮まれ俺のジュニア…
その言葉に、俺が尚更煽られたことを詩音はわかってるんだろうか…
家まで保つかな…ううっ、平常心、平常心…
心でひたすら呟きながら車を飛ばした。
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