303 / 829
カウントダウン③
詩音の手をソコヘそっと導けば、ひっ と声にならない声を上げて手を引っ込めた。
詩音は目を見開いて、ふるふると首を横に振った。
「…詩音…触ってくれるだけでいいから…」
拒絶されたと思い、情けない声が口から出ていた。
途端に戸惑いと甘い匂いがふわりと鼻を擽る。
詩音は躊躇していたものの、意を決したように両手を俺の頬に当てて、そっと唇を合わせてきた。
春風のような柔らかなキス。
そしてすりすりと鼻先を合わせた後、詩音自ら俺自身に手を添えると、消え入りそうな声でささやいた。
「ここに…キスして…いいですか?」
えっ!?マジで!?
自分で頬を抓ってみた、
「痛っ!」
「…継?何をしてるんですか?」
「えっ…いや…その…詩音が本当にそうしてくれるのか…夢じゃないかと思って…」
「…継…」
上目遣いの詩音は破壊的な かわいさだ。
俺自身はますます硬度と太さを増している。
ごくっ と唾液を飲み込んだ。
「詩音…本当に、いいのか?……嫌じゃないのか?」
大きな目を瞬かせて詩音がこくこくと頷いた。
あぁっ!俺の伴侶は何ていじらしいんだ!
もんどりうってごろごろ転げ回りたいほど、萌えて悶えていた。
「…じゃあ、遠慮なく…お願いします…」
何故か丁寧に懇願して、もう一度詩音の手をそっと添えた。
詩音は、今度は逃げなかった。
優しく、そっと俺自身に触れてきた。
触られただけで、熱を放出しそうになる。
思わず ふるっと身震いして詩音を見ると、じっと俺を見つめ返してくる。
甘く絡み合う視線とフェロモン。
あぁっ!
そんなバンビのような純粋な目で俺を見ないでくれ!
何かイケナイことをしているような気になる。
俺は…現行犯逮捕されるのか!?
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!