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カウントダウン③

詩音の手をソコヘそっと導けば、ひっ と声にならない声を上げて手を引っ込めた。 詩音は目を見開いて、ふるふると首を横に振った。 「…詩音…触ってくれるだけでいいから…」 拒絶されたと思い、情けない声が口から出ていた。 途端に戸惑いと甘い匂いがふわりと鼻を擽る。 詩音は躊躇していたものの、意を決したように両手を俺の頬に当てて、そっと唇を合わせてきた。 春風のような柔らかなキス。 そしてすりすりと鼻先を合わせた後、詩音自ら俺自身に手を添えると、消え入りそうな声でささやいた。 「ここに…キスして…いいですか?」 えっ!?マジで!? 自分で頬を抓ってみた、 「痛っ!」 「…継?何をしてるんですか?」 「えっ…いや…その…詩音が本当にそうしてくれるのか…夢じゃないかと思って…」 「…継…」 上目遣いの詩音は破壊的な かわいさだ。 俺自身はますます硬度と太さを増している。 ごくっ と唾液を飲み込んだ。 「詩音…本当に、いいのか?……嫌じゃないのか?」 大きな目を瞬かせて詩音がこくこくと頷いた。 あぁっ!俺の伴侶は何ていじらしいんだ! もんどりうってごろごろ転げ回りたいほど、萌えて悶えていた。 「…じゃあ、遠慮なく…お願いします…」 何故か丁寧に懇願して、もう一度詩音の手をそっと添えた。 詩音は、今度は逃げなかった。 優しく、そっと俺自身に触れてきた。 触られただけで、熱を放出しそうになる。 思わず ふるっと身震いして詩音を見ると、じっと俺を見つめ返してくる。 甘く絡み合う視線とフェロモン。 あぁっ! そんなバンビのような純粋な目で俺を見ないでくれ! 何かイケナイことをしているような気になる。 俺は…現行犯逮捕されるのか!?

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