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カウントダウン④

詩音の手が、ゆるゆると動き出した。 俺の楔は先走りで既にぬるぬるだったから、詩音の手はスムーズに動く。 細くしなやかな指がリズムを刻むように、上から下まで撫で摩る。 慈しむような指の動きに、俺は泣きそうになっていた。 詩音は、俺の足の間に蹲ると、透明な液体が滲み出る切っ先に躊躇なくキスをする。 小鳥が啄ばむような軽いキス。 何度も、何度も繰り返す。 時折ペロリと舐められて、腹に付きそうなくらいに天を指す楔… そして… ついにその小さな口で、かぷりとカリ首まで咥え込んでしまった。 「し、しっ、詩音?」 脳髄まで痺れる快感とあまりに扇情的な光景に、目の前がクラクラする。 俺のかわいい伴侶は、その温かな口内に俺の楔を含んだまま、ちらりと俺を見上げて 「ひぇい、ひもひいい?(継、気持ちいい?)」 無言でぶんぶん首を縦に振る俺。 詩音…お前はマジで俺を萌え殺す気か? 一層重量を増す楔に、詩音は目に涙を溜めながらも一生懸命(かぶ)り付いていた。 その髪の毛を労わるように撫でてやると、ふんわりと微笑んで、小さな穴に舌先をぐりぐりと差し込んだり、根元から切っ先まで唇を這わせたり…俺がいつも詩音にするように、愛撫してくれる。 急激に先端へ溜まっていく熱の塊は散らしようがなく、余裕の全くなくなった俺は、何とか詩音の顔を退かせようと、できるだけ余裕ぶった声でささやいた。 「しっ、詩音…なぁ、もう、もう十分だから…口、外して?」 詩音は、キッと俺を睨むと(いや、そんな顔してもかわいいだけだから)、いやいやと首を振った。 その動作だけで軽くイきそうになった俺は、耐えた!必死で耐えた!

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