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矛盾する想い①

side :詩音 毎日のように継に抱かれて愛される。 最後にはほとんど意識を飛ばしてしまい、朝までそのまま気付かない…ということも多い。 その間に身体中綺麗にされ(お腹を壊すから、と中までしっかりと綺麗にされている…恥ずかしい)、清められた新しいシーツに寝かされ、目覚めると継に抱きしめられている。 恥ずかしい。 いつまで経っても、何度抱かれても、恥ずかしくて毎朝居たたまれない。 継は「これは俺の生き甲斐だから、それを奪うな」と、訳の分からないことをうれしそうに言う。 『加減して』と言っても聞いてくれない。 俺、身体持つんだろうか… 昨夜も散々啼かされて意識がなくなって…この始末だ。 目の前で涼やかな顔をして眠る暴君の鼻先をつついてみる。 擽ったかったのか、ごしごしと手で擦っている。 かわいい…うん、かわいい! 彫りの深い彫刻のように美しいその顔をじっと見つめていると、そのうち継が目覚めてしまった。 ゆっくりと抱きしめられキスされて…こんな幸せな気持ちになれるなんて… 「おはよう、詩音。早いじゃないか。 何だ…愛し方が足りなかったのか?」 「!!!!!…継…そんなことはありませんっ! やだ…もう…」 俺を揶揄ってクスクス笑う継。 全身熱を帯び真っ赤になる俺。 朝からのこんな いちゃいちゃも、未だに慣れない。 「それがまたかわいくて堪らない」と継は言うけれど、俺にとったら恥ずかし過ぎて拷問に近い。 これからもずっとこんな朝が続くのか… いつになったら普通に「おはようございます」って言えるようになるんだろう。 かと言って、それが全く嫌だという訳でもない。 矛盾する想い。

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