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矛盾する想い③

一気に侵入してきた楔をみっちりと包み込み、お腹の奥がきゅうきゅうと痺れている。 中からじゅわりと愛液が滲んでくるのがわかる。 平日の朝からこんな…こんなの… 嫌だと思いながら、快楽に溺れていく身体が恨めしい… 継は俺の頭を撫で、零れ落ちた涙を舐めとりながら 「詩音、ごめん。わかってる。 “朝っぱらから”“仕事もある”って。“こんなの嫌だ”って。 でも、俺がこんなになるのはお前だけだって分かってくれ。 頼む…俺を…嫌わないで…」 しゅんと眉毛も下がり、悪戯をして叱られた子供のように情けない顔をした継が、泣きそうになっていた。 怒るよりも愛おしさが募り、ぐいっと顔を引き寄せてキスをした。 「嫌いになんてなるわけないでしょ? 俺は…俺は、あなたのものなんだから…」 「詩音…」 乱れるシーツの擦れる音がした… 急いでシャワーを浴びながら、頭の中は反省という文字が渦巻いていた。 学習能力ゼロ! 二度あることは三度ある!(いや、三度じゃないっ、もう数え切れないっ!) 流される俺って…バカ!? のんびり新聞を読もうとする継を急かしご飯を食べさせ、忙しなく後片付けをして何とか車に飛び乗った。 「…はあっ…ギリギリセーフ…何とか間に合いそう…よかった…」 恨みがましい目で、隣の運転手をちらりと軽く睨む。 それに気付いたのか、ふふっと鼻で笑うと 「詩音、すまないな…許せ。」 ちっとも“すまない”なんて思ってないくせに! 継は、膨れっ面の俺の頬を左手の人差し指で優しく撫でると、真っ直ぐ前を向いてアクセルを踏んだ。

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