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夫の自覚⑦
「詩音…綺麗だ…」
思わず零れ出た俺の言葉に、詩音は掠れた声で応える。
「…継、早く…」
「そんな煽り方したら、もう止まらないぞ!」
「…それは…加減して下さい…」
あぁ、もう、コイツは…
上からのし掛かり、じっと見つめる。
ほろ酔い加減の詩音の頬は上気し、目も潤み、呼吸も荒くなっている。
「優しくできるかどうか、自信はないが…
たっぷりと愛する自信はある。
詩音、俺を受け止めろ。」
その言葉に妖艶に微笑む詩音から、ふわりと甘く俺を誘う香りが流れてくる。
煽りやがって。
上等だ。
泣き叫んでも許してやらない。
詩音の着ている物を次々と引き剥がすように
脱がせた。
唇をそっと合わせ、離れようとすると、詩音の唇が追いかけてくる。
俺の首に腕を絡めて引き寄せ、必死に。
ふっ…
かわいい奴め…大丈夫だ、俺は絶対にお前から逃げたりしないよ。
薄く開いた唇に舌を捻じ込ませ、上顎をなぞってやると、擽ったいのか ぴくぴくと震える。
じゅわりと唾液が溢れ出て、啜って飲むと蜂蜜の味がする。
甘い吐息は芳しい花の匂い。
詩音の喉元に舌を這わせ甘噛みをすると、頭を仰け反らせて感じてくれていた。
ひと噛み毎に、ぴくりと反応する身体は愛らしくて、どこをどうやって攻めようかと思案していた。
…だが、明日も仕事だ。ある程度手加減しなければ…休みであれば抱き潰しても文句は言われないだろうが、仕事ならばそういう訳にもいくまい。
素股でイかせるか…
俺は喉元から腋の下、そして横腹へとキスをしながら移動して、もちろん、いくつものキスマークを鮮やかに付けていった。
その度に詩音は「あんっ」とか「くふん」とか、何とも言えぬ可愛らしい声をあげるもんだから、たまったもんじゃない。
危うくそれだけで何度も暴発しそうになった。
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