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夫の自覚⑧
声だけでこんなになるなんて…
無自覚に煽る天然お色気ムンムンの詩音にも困ったもんだ。
いつの間にこんなに色っぽくなったんだろう。
抱く度に、毎日毎日色香が増してくるような気がする。
俺か?俺の仕込みがよかったのか?
…元々運命の番だ。
相性が良いのは当然だろう。
この俺がこんなに翻弄されるなんて…
目の前の小悪魔に手玉に取られて、絶対的αの俺も形無しだ。
…やっぱり詩音は破壊兵器だ。
「…継?」
詩音が不安気に俺の名を呼ぶ。
「どうした?詩音。」
「…やっぱり止めましょう。
お休みの日に、ゆっくり…」
考え事をしていて俺の愛撫が疎かになったのか?
それとも酔いが覚めて冷静な詩音が戻ってきたのか?
「何故だ?俺もお前もほしがっているのに。
身体が辛いのか?」
ふるふると首を横に振った詩音は
「いいえ。辛くはないです。
でも…でも。」
「『でも』何だ?」
「継が本当に俺をほしい時に…抱いて下さい。
今は…違う…」
見る間に大きな目に涙が出て溢れてきた。
「何が『違う』んだ?
俺は詩音がほしくて堪らないんだが。」
詩音はまた、ふるふると首を振る。
俺は詩音の手をそっと取ると、俺のいきり勃つ股間へと導いた。
びくっと反応し引こうとした手を引き止めてぐっと握らせると、詩音は呟いた。
「…大っきくて…熱い…」
俺は詩音にキスしながら
「どれだけほしがってるかわかったか?
さっきもお前の声だけで何度昇天しそうになった。
触れたい。抱きたい。一つになりたい。
毎日毎日そんなことばかり考えている。
…どうだ?こんな男、嫌気がさしたか?」
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