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快楽への解放②

振り撒かれる俺のフェロモンが部屋の壁に当たり、行き場を失って破裂しては舞っている。 こんなすごいの、初めて… 継からも興奮した匂いが溢れ出て止まらない。 同じように壁に当たり跳ね返っては衝突し俺達の上に降りてくる。 発情期(ヒート)でもないのに、大量の、そして余りにも濃厚な二人のフェロモンに、頭がくらくらして飛びそうだった。 挿入じゃなく、素股でこんなにすごいことになるなんて… これで交わったら俺の身体はどうなるんだろう… 感じていることを言葉にするだけで、格段に快感の度数が増していく。 ひと撫でされる度に、キスを一つ落とされる毎に、お腹の中から痺れて電流が走り抜けていく。 継が獣のように番の印を甘噛みしている。 俺達の愛の印… 雄々しい猛獣に、俺はお願いをする。 「…継、継っ!」 「…んっ、どうしたんだ、詩音。 辛いのか?」 首を勢いよく振っていつも言わない言葉を口にする。 「挿れて…ちゃんと挿れて、奥まで突いて! 俺を…愛してっ!」 「詩音…お前…何てかわいい… いいのか?お前の中に分け入って奥まで犯してもいいのか? このままだと…抱き潰すぞ、絶対に… 明日起きれなくてもいいのか? そんなに煽ったら会社を休むことになるぞ?」 「…っ…それでも…それでもっ! お願い、抱いて…」 チッと舌打ちが聞こえ、続けてガタガタ、パチッと蓋を開ける音がしたと思ったら、トロリと冷たい感触が尻たぶに注がれた。 「…っ」 「ごめん、詩音…ローションを温めてほぐしてやる余裕が俺にはない。 指は…入るな…」 継の言う通り、解れているそこは、指を三本楽に飲み込んでいた。

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