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快楽への解放③

ずぶずぶと侵入してきた指は、いとも簡単に中のしこりを探し当て、刺激し始めた。 しつこいくらいに嬲られている。 「ああっ…そこ、ダメ…やだぁ…あぁ…」 艶めかしい声が後から後から止めどなく溢れてくる。 嫌じゃない。 本当は嫌じゃない。嫌じゃないんだ。 もっとしてほしい。 素直になったはずなのに。 でも口をついて出るのは『嫌』という拒絶の言葉。 身体も求めている。 心も…本当の意味の解放を待っている。 規制線を突破し始めた俺の感情は、素直な気持ちを匂いで継に伝え始めていた。 たっぷりと甘く艶めかしいフェロモンが振り撒かれる。 もちろん継はそれに反応していた。 「…ココだろ? 気持ちイイよなぁ、詩音…引っ掻いた方がもっといいかも…」 継は器用な指使いで、こりこりとその部分を引っ掻いたり、微妙な力加減で押してみたりするから、俺はただ ひぃひぃと嬌声を上げ、その指を堪能していた。 「やだぁ…継…ひうっ…いやぁっ」 嫌じゃない。 そこ…そこなの… もっと もっと奥まで 指じゃなくて ホンモノをちょうだい 胸の奥で燻る本音。 びりびりと皮膚を破って出てきそうなドロドロした欲望。 明日動けなくても、出社できなくても 文句は言わない。 ただ今は… 目の前の快楽に追いすがり求めるだけ。 継はひたすら冷静に、俺の感じる所を的確に、ピンポイントで攻めてくる。 「詩音、愛してるよ… 『嫌』じゃないだろ? 『もっとして』って言えるかい? 『継がほしい』『継を入れて』ってお願いできる?」 俺の…俺の箍が外れるのを継は待っている。 俺自身を全て曝け出すのを…

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