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甘える獣②

ちょっと(むく)れて 「…わかりました。わかりましたって。」 継の顔に近付き、唇をくっ付けて (1.2.3.4.5) 五秒間きっちりと心の中でカウントして離れた。 目を開けた継は 「…愛が足りない。詩音の愛がほしい。」 なんて言う。 「…愛って…いつでも継のことを『愛してる』って言ってるじゃないですかっ! もう…いい加減に起きないと、俺一人で電車で行きますからね。」 「電車!?それはダメだっ! 一人なんかにできるかっ!ましてや電車なんてっ!」 慌てて飛び起きて、俺を抱きしめる継の頭を撫でながら 「じゃあ、いい子で起きて準備して下さいね。」 と、やんわり絡みつく腕を外し、キッチンへ戻った。 程なく不貞腐れた顔で現れた継は、子供みたいに口を尖らせていて…思わず吹き出して、一層継の機嫌を損ねてしまった。 そんな継にするりと近寄って 「ご飯、できてます。 早く顔を洗って…抱っこして食べさせて…」 継の顔が…崩れた。 素早く俺にキスをすると、ダッシュでキッチンを飛び出して行った。 わかりやすい。 それに、扱いやすい!? 子供みたいな継に、おかしくなってクスクス笑い続けていた。 イケメンフェイスに戻った継は、さっさと自分で二人の茶碗にご飯を装い味噌汁をつぎ分け、お茶を入れて座ると、ぽんぽんと膝を叩いた。 必死で笑いを堪えながら継の膝に座ると、一瞬ぎゅうっと抱きしめられ、いつものように一口ずつ口に放り込まれる。 俺も継の口元に、食べやすいサイズに箸で切った卵焼きやご飯を運んでいく。 ふわりふわりと甘い匂いの漂う朝。 そんな朝が数日続いた…

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