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甘える獣④

今週は、流石に継が俺を気遣ってセーブしたから、身体を繋ぐことはなかった。 けれど、その分、それこそトイレ以外はぴったりとくっ付いてきたり、嵐のようにキスをしてきたり、膝枕を強請ったり。 相変わらずの膝抱き『あーん』も朝だけでなく毎食になり…(会社の昼休みにもやられた…恥ずかし過ぎて篠山さんの顔見れなくなった) 俺の寝間着を剥ぎ取って裸にして、ぎゅうぎゅう抱きしめて眠ったり。 エレベーターの中でもキスをしたがり、腰を抱きたがった。 とにかくベタベタとしたがる継に辟易しながらも、それなりに相手をしてあしらっていた。 今日は金曜。明日から二日間は休みでフリー。 今夜は…きっと抱き潰される… 覚悟しておこう… 「しーおーーん!」 ほら、きた。 「しおーん!お風呂に入ろう!」 「…ご飯の支度が先です。 継は先に入ってて下さい。俺は支度ができたら入ります。」 「えーーっ!?一緒がいい…ここで待ってる。」 出た…甘えた発動だ。 でも、それを嫌と思わない。 寧ろ…ドキドキ切なくうれしく思う自分がいる。 継の逞しい胸に抱きしめられて、あの熱くて固い楔に貫かれて… あの快感を思い出して、ぶるっと身震いをした。 ふわっとフェロモンが出てしまったのか、継が後ろから抱きしめてきた。 「継…支度ができません。離して…」 「ヤダ。ご飯より詩音を早く食べたい…」 甘い香りとともに耳元でささやかれ、身体が震え出した。 「…ダメ…もう少し、待って…」 「待てない…ずっと我慢してたんだ。 ほしいよ…詩音がほしいんだ。」

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