358 / 829
甘える獣⑧
「詩音…行こう…」
掠れた声が俺を動かした。
腰を抱かれ、シャワーの下に連れていかれる。
目を閉じるように言われ、肩から掛けられるお湯と、背中からぴったり抱きしめられ、肌を滑る継の大きな手の平を感じながら、視界のなくなった心許 なさの中、敏感になっている身体を持て余し始めた。
次第に芯を持ち始める俺自身に気付いた継は、するりと手を滑らせて、それを手の平に包み込んだ。
「あっ」
びくんと背中を仰け反らせた反動で、継に体重を掛けてしまうが、難なく受け止められ、その体制のままキスをされた。
「んむっっっ」
目を瞑ったまま口を塞がれ、上から落ちてくるお湯に鼻を潰され、息ができなくなった。
苦しくて苦しくて、首を左右に振って逃げる。
それを追いかける継に、また口を塞がれる。
「んんんっ」
壁に押し付けられた背中は、その冷たさを吸って一瞬ヒンヤリとしたけれども、身体の内から燃えてくる熱が、逆に燻る熱さを伝えていく。
「…詩音…」
甘ったるい匂いが鼻腔を擽る。
あうっ…
ぴりっと、胸に痛痒さが走った。
薄眼を開けて視線を下に向けると、継が乳首に吸い付き、余った片方を指で摘んでいた。
少しの刺激で尖り切ったそこは、継の愛撫で完全に芯を持ち、それを受け入れていた。
カリカリと爪を立てて弾かれ、快感を思い出した先端から、ぴりぴりと甘い痺れが身体中に走り始めた。
ボディソープの香りがしたと思ったその時、後孔にぬるりとした感触がして、余りの気持ち良さに『洗われている』と頭で理解するまでに数秒かかった。
「やだっ、継!
自分でするから、やだっ、止めてっ!」
つぷつぷと指を少しずつ入れながら
「やだ。俺にさせろ。」
暴君だ…さっきまで甘えただったのに…
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!