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甘える獣⑨

「それ、やめて…自分でするからぁ…あん、やだぁ…んくっ」 一週間放置されキツくなった後孔は、愛する夫の指一本で次第にゆるゆると解けていく。 「…かわいいなぁ、詩音… しばらく使ってなかったからまだキツいけれど、俺をほしがって きゅうきゅう締めてくる… それに中…かわいらしく ちゅっちゅっ ってキスしてくるぞ… ちょっとだけ待ってろ。 後で好きなだけ、俺のをあげるから…」 二本に増やされた指先で、こりっと擦られた。 「あああっ」 熱の溜まっていた先端から、堪え切れずに白濁の液が(ほとばし)った。 久し振りに弱いところを弄られて我慢ができなかった。 …熱を吐き出してしまったというのに、全然萎えていない。 ガクガク震える足に力が入らなくなってくるのを片手で支えられて、そのままの姿勢で解されていく。 みっともない格好に抵抗するけれども、継にとっては意味をなさない。 シャワーのお湯を当てられ、結局最後まで綺麗にされてしまった。 その頃には、一度達してしまっていたのと逆上せてしまったのとで、俺はぐったりと継に抱かれていて… ずっとキスも止めない獣に、好きなようにされていた。 バスタオルに(くる)まれて、水を口移しに飲まされて、やっと一息ついた。 目の前にそそり勃つ継の楔は、青筋が立ちびくびくと脈打っていて、思わず目を逸らしてしまった。 それでも目の端に映るそれは、先端から透明な液を零している。 それを隠そうともしない猛獣は、全身を火照らせた俺にぴったりとくっ付いてくる。 じわりと噴き出す汗さえも心地いい。 「甘えん坊。」 呟くと、ペロリと鼻先を舐められた。

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