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捕食②

震える身体は継の愛撫に素直に応じているというのに。 心はとうの昔に、継との愛の交わりを求めているというのに。 熱を帯びた身体と心は継を求めて止まないのに、羞恥なのか最後のプライドなのか、『嫌』と拒絶の言葉が口から零れ落ちる。 しかし…相反する言葉と身体のバランスが、次第に快楽へと傾いていく。 じゅるっ ぺちゃっ じゅるっ 「…ぃゃ…継…あっ、あぁっ…はうっ…あ…」 掠れた高いトーンの声に艶が混じりだし、腰がもぞもぞと揺れ出した。 俺の意思とは御構い無しに。 継は俺の腰をがっしりと掴んで離さない。 その声を聞いた継は愛撫していた場所から唇を離すと、身体を上に滑らせて、喉元を舐め始めた。 喰べられる ライオンに捕えられたガゼルのように 急所の喉笛に食いつかれて 継だけのものになる 細い喉を反らせ、ゴクリと唾を嚥下した。 薄い喉仏をざりざりと舐められる。 俺は力の入らなくなった両手を必死で動かして、継の頭を搔き抱いた。 あぁ…愛おしい(ひと) 俺の血肉も魂も全て あなたに捧げます このまま、この温もりを抱えて命が果てても構わない 好き…大好き…愛しています… 「詩音…何て愛おしい…俺の、俺だけの詩音…」 二人を包む濃厚なフェロモン。 苦しい。 苦しいくらいの濃い匂いに包まれて 「もうダメだ、優しくできない」 と小さな声で呟いた継が、数度後孔に猛った楔を擦り付けて… あああーーーっ! ずぷずぷと俺の襞を掻き分けて、継が入ってきた。 いきなりの挿入に、全身が震え出した。 俺は目を見開いたまま、息をするのを忘れていた。 肉筒には灼熱の楔が埋め込まれていくのに、ぞわぞわと皮膚を走る悪寒は鳥肌を生む。

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