363 / 829

捕食④

本当に余裕がないのだろう。 息遣いも荒い。 俺を気遣ういつもの優しい匂いがほとんどしない。 アイシテル という匂いを蹴散らすように… 獣のような欲望の匂いが継から どくどくと流れてくる。 ――本能 雄が雌を孕ませる…肉欲。 それに煽られて、俺からも継を妖しく誘う匂いが溢れ出した。 くんくんと鼻を鳴らした継が 「…詩音…奥まで…イクぞっ!」 腰を鷲掴みにすると、入り口まで一旦大きくバックした継は、数度反動をつけて一気に突いてきた。 「きゃぁーーーっ!!!」 瞬間、目の前が真っ白になり、あまりの衝撃に悲鳴のような声を上げた俺は、危うく失神しそうになった。 身体はぶるぶると痙攣している。 それなのに俺の中は、愛液がじゅわりと滲み出て、(したた)かに打ち付けられた楔を逃すまいと、襞が纏わり付きしなやかに継を包み込んでいる。 「…あっ…はっ…はぁっ…あっ…」 中でぴくぴく震える灼熱の楔が、また動き始めた。 与えられた衝撃が、まだ身体から抜けていかず、微かな痙攣を起こしている。 続けざまに掘り起こされる快楽の強さは、もう俺の理性を木っ端微塵に砕いてしまっていた。 じくじくとお腹の奥から沸いてくる甘い痺れに支配されて、ついに口をついて出てくる言葉は 「継…お願い…奥に…奥に、ちょうだい…」 自分の声なのに自分のものではない、甘ったるい声が溢れ出した。 「…詩音、あぁ、俺の番…そんなかわいいこと言われたらセーブできない…」 そう言いながら継の動きは止まらない。 身体の内側から生まれる欲望の熱は、外へ、外へ出ようと、痛いくらいに先端に溜まっていく。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!