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捕食⑩
継が、しばらく意識が飛んでいた俺の後始末をしてくれている。
掻き出すための指が入ってくる感触で、意識が戻ってきたのだ。
始末をするフリをしては、コリコリとあらぬ部分を刺激してくるから始末が悪い。
毎度のことだがやはり恥ずかし過ぎて、止めてもらいたい。
でも継は『これは夫の役得だ』と頑として言うことを聞いてくれないのだ。
どちらにしても身体は自由が効かないほどに、抱き潰されている。
結局は継のなすがままになり、あっという間に俺もシーツも綺麗にされた。
「俺はまだ足りないんだが…詩音を潰したら困るから…」
暴君が恐ろしいことを言っている。
いや、もう俺は潰れてますって。
今も俺の横で抜いてたの、バレてますって。
俺は悟った。
日にちを空けたらその分の反動が凄すぎて、こんな目に遭うくらいなら、いっそ毎日小出しにしたほうがいいのかなと。
それでも…小出しにとは言っても『潰されない』確約はないわけで…
とにかく!
継にはセーブしてもらう方向でお願いしようと決心した。
「しおーん…」
猫撫で声の猛獣がすりすりと寄って来た。
「お前の中に喰べられて、すっかり搾り取られちゃったかも。」
喉が枯れて声が出ない俺は、目一杯の心の声で叫ぶ。
何言ってるの?
二度も俺の中に吐き出したのは、継、あなたですよ!
びっくりだよ、もう。
「滅茶苦茶気持ち良かった…本当に、俺を“愛してる”って、中も外も言ってくれてて…泣きそうになる。
愛してるよ、詩音…」
泣きそう?
継が!?
俺も…俺も“愛してる”っていう継の想いが全身から伝わってきたよ…
はい、俺も、愛してます、継…
それでも…潰すのは勘弁して下さいね。
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