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獣の躾①
身体を繋げない日が数日続くと、その反動がすご過ぎるので、妥協案としてほぼ毎日、適度に継のお相手をしている。
と言うか…実を言うと、イチャイチャしていると俺も継にそうしてほしくなって…だからお互い様のところがあるのだ。
(継は、そうなるように絶対仕向けている…と思う)
その結果、継にいいように抱かれ、啼かされる日々が続いている。
正直、体力がもたない。
仕事に差し障る…程ではないが、多少なりとも支障をきたすことがある。
何回かに一度は、口で満足してもらうようにしているが、何とも切なそうな顔をされると、負けてしまって、結局最後まで…してしまうのだ。
今夜もまた…
帰宅する車内で、有り余る性欲を満たそうと、もう継からフェロモンが出ていた。
何とか回避できないのだろうか…
今日はちょっと辛い。
絶対、絶対拒否しよう。
ワザとゆっくり明日のお弁当の準備をしていると
「しおーーん!早くおいでー!」
あぁ…呼ばれている。
はぁっとため息をついて寝室を覗くと、ワクワク感満載の匂いをさせて、継がいそいそと待っていた。
俺を見つけると、ぱぁーっと顔が綻 んで、その顔を見ると言うことを聞いてあげたくなってしまうのだ。
「詩音、ここっ!」
ぱふぱふとシーツを叩き、横になるように促される。
大人しく継の隣に潜り込むと、ぎゅっと抱きしめられる。
大好きな匂いに包まれて、それを胸一杯に吸い込んで、継の逞しい胸に密着すると、頭を撫でられて、それだけで満足してしまう。
今夜はこのままゆっくりと眠りたい。
重くなる瞼を逆らわずに閉じていくと、業を煮やした継の愛撫が始まった。
その手をそっと遮った。
「継、お願い…今日はこのまま寝かせて…」
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