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獣の躾③

俺は沸々と湧いてくる怒りを必死で押さえながら言った。 「…『ちょっとだけ』何をしたんですか?」 「え?えーっと…その…」 「何をしたんですか…」 「うっ…………あの…その…えーーっと… 寝ている詩音を…その… 抱きました!!!!!」 切れそうになる血管。 怒りのあまり逆流する血液。 わなわなと両手は震え、悔しくて涙が出てきた。 「しっ、詩音!? すまん、すまない、許してくれ、ごめん!」 シーツに頭を擦り付けて、土下座をする継。 涙を拭い、冷たい目でそれを見ながら 「俺、昨夜(ゆうべ)は『無理だ』って言いましたよね? 『お願い、寝かせて』って言いましたよね?」 「…はい。」 「あなた『大人しくする』って仰いましたよね?」 「…はい。」 俺のあまりの怒りように、継はベッドの上で正座していた。 項垂れて俺の顔をまともに見れていない。 俺は無言でベッドの下に散らばった服を身に付け始めた。 「…詩音?」 継が情けない声で俺を呼ぶ。 キッ と睨め付け、空気が凍りそうな声音で言い放った。 「今日から寝室は別です。 今から指一本俺に触れないで下さい。 いいですね?」 「ふえっ!?そんなぁ…詩音…それは」 「い・い・で・す・ね?」 「うっ………」 俺は継を残し、すたすたと寝室を後にした。 信じられないっ。 継のばかぁーーーーーっ! 意識のない俺を…俺を…信じられなーーいっ! ケダモノっ! 駄犬っ! 絶倫スケベオヤジっ! 「継のばかぁーーーーーっ!」 俺の絶叫がリビングに響いた。

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