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獣の躾④
大声で叫んだら、少しはスッキリした。
大判のバスタオルを出してきて、ソファーの背もたれに掛け、水を飲みにキッチンへ。
それにしても…
あの人並み外れた性欲は、何とかならないのだろうか。
絶対的αって、みんなそうなんだろうか…
誰かに相談…誰がいいかな…
お義母さん…には流石にちょっと言い難い。
右京さんは…悪阻が酷いだろうな…そんな時にこんな話はしたくない。それに胎教に悪いもん。
柚月さん…は子育て真っ最中で、ただでさえ睡眠不足だろうから無理だろう。
となると…
やはり『困った時の伊織さん』かな。
あ の 香川先生を手の平で転がすテクニックは素晴らしいもの。見習いたい。
そうだ。伊織さんに相談しよう!
寝室からは、反省と不貞腐れ感満載の匂いがする。
がちゃり
ドアが開いて継が恐る恐る顔を覗かせている。
「…詩音?…詩音、どこ?」
無視。無視だ。
「…しおーん?詩音…ごめんって。
しおーん!」
キッチンにいる俺を見つけて、継が飛んで来た。
「…詩音…反省してる!ごめんなさい!
もう、もう、二度としないから…」
俺を抱きしめようと手を伸ばす継に一言。
「さっき言いましたよね?
『指一本触れないで』って。」
ビクッとして固まる継。
「詩音…そんな無体なこと…」
「無体なことしたのは、あなたでしょ?
とにかく!
俺に近付かないで!」
「…わかった。
でも、ここでは休めないし、俺がここに来るから、詩音はベッドに行ってほしい。」
「結構です。もう起きなきゃならない時間ですし。
お気遣いなく。」
「詩音…」
あと三十分ほど横になろうと思ってたのに。
ウザい。
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