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獣の躾⑤

朝ご飯とお弁当…作らなきゃ… はあっ とため息をついて、がちゃがちゃと支度を始める。 『どうしよう、どうしよう』と、継の周りの空気がざわついている。 あの俺様継が、オロオロしている。 俺に声を掛けるのすら躊躇っている… そんな継に 「今日は別々に帰ります。 買いたい物があるので、篠山さんにお願いしますから。」 「えっ!?…詩音…俺も一緒じゃダメなのか? …俺も行きたい…」 「たまには一人でゆっくり買い物したいんです。」 バシッと切るように言い放つと、継は何か言い掛けたが口を(つぐ)み 「…わかった。じゃあ、晩ご飯は俺が準備しておくから…何が食べたい?」 「いえ、継ご自身のだけで結構です。 俺の分はお気になさらず。済ませて来ますから。」 沸々と怒りと悲しみが溢れてくる。 俺の怒りが、匂いだけでなく、あからさまに言葉と態度に出てしまっている。 自分でもかなり意地悪だと思うけれども、改めることができない。 それだけ昨夜のことは腹が立って仕方がないんだ。 しゅん…と項垂れた継は、悲しそうな顔をして寝室へ とぼとぼと戻って行った。 その後ろ姿を見て胸がきゅっと傷んだが、今は怒りの方が先行している。 反省するくらいなら最初からヤらなきゃいいでしょ!? いくら夫夫だからと言っても、片方が嫌だと拒否してるのに無理に行為に及べば、それは夫夫間レイプじゃないの? 俺は確かに夕べは『嫌だ』という意思表示をしたんだ。 それなのに継は、眠って意識のない俺を勝手に… …俺だって、怒る時は怒るんだから。

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